心理的瑕疵・事故物件に関するガイドラインの内容
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本ガイドライン制定の趣旨・背景
○ 不動産取引に おいては、取引対象となる不動産に まつわる 嫌悪すべき歴
史的背景 1がある場合に、いわゆる 心理的瑕疵があると いわれ、とりわけ 住
宅として用いられる不動産 において、殺人、自殺、事故死など、人の死が
発生した場合 が 心理的瑕疵として問題になる 。
○ こうした事案については 、買主・借主 にとって不動産取引 にお いて契約を締結するかどうかの判断に重要な影響 を及ぼす可能性があることから、
売主・貸主 は、把握している事実について、取引の相手方である 買主・借主に対して告知す る必要があり、過去の裁判例に 照らせば 事案発生からの時間の経過、 事案 の 内容、取引目的、近隣住民の周知の程度等を考慮して、信義則上これを取引の相手方に告知すべき義務の有無が判断されている
○ さらに、売主である 地建物取引業者 以下「 売主業者 」という。や 、
媒介又は代理を行う宅地建物取引業者(以下、単に「媒介 業者 」という。)
は、 宅地建物取引業法上、取引条件に関する事項であって、取引の相手方の判断に重要な影響を及ぼすこととなるものについて告知を行う必要がある 。
不動産取引における心理的瑕疵に係る課題
○ 不動産取引における心理的瑕疵については、買主や借主の個々人の内心に関わる事項であり、契約の目的物における 殺人、自殺、事故死などの事案をどの程度 嫌悪し、それが 取引の判断にどの程度の影響を与えるかについては、当事者ごとに異なるものである。 しかし、どの程度の心理的瑕疵を当該不動産取引において許容するかということについて契約当事者間で明文をもって合意することは多いとは言えない。
○ このため、個々の不動産取引において、目的物の性状が、告知すべき事案に該当するかどうか が明確でなく、告知の要否 、告知の内容についての判断が困難なケースがあり、不動産取引の実務においては、不動産において人の死が発生した場合に、取り扱う宅地建物取引業者によって対応が異なり、中にはすべて告知する対応をしているケースもあり、心理的瑕疵に係る調査や告知の負担が過大であると指摘されることもある。
1 横浜地判平元.9.7判時1352号126頁
2 高松高 判平 26.6.19 判決、東京地 判平 22.3.8 WJ 等
○ また、不動産取引に際し、当該不動産において過去に生じた人の死について、すべてを告知する対応を行うことによって、賃貸住宅の入居の場面において、 貸主が入居者が亡くなって告知の対象となることをおそれ、特に単身高齢者の入居を敬遠する傾向があるとの指摘もある。
ガイドライン制定の必要性
本ガイドライン の位置づけ
○ 不動産取引においては、 買主・借主 が契約を締結するかどうか の 判断に重要な影響を及ぼす可能性がある 事案 について、売主・貸主による告知が適切に行 われることが重要である 。
民事上の位置づけ
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